NPO法人 日本野鳥の会鳥取県支部
・探鳥地ご案内

 ・八東ふる里の森
  八頭町
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写真(遊歩道沿いのブナ林)  観察できる野鳥    交通
   年中  春〜夏 秋〜冬  鳥取市から国道29号を南へ約29km走り丹比を過ぎてから左折。細見川沿いに約11km進むと「ふるさとの森」の駐車場に着く。
公共交通機関はありません。
アオバト
フクロウ
ヤマセミ
アカゲラ
コゲラ
カラ類
ゴジュウカラ
メジロ
イカル
ジュウイチ、カッコウ
ツツドリ、ホトトギス
コノハヅク、アオバヅク
ヨタカ、アカショウビン
ブッポウソウ、キセキレイ
コルリ、トラツグミ
クロツグミ、ヤブサメ
キビタキ、オオルリ
コサメビタキ 、ミソサザイ
  

 「八東ふるさとの森には妖精が住む」と、魅力を語った愛鳥家がいます。八頭町町営のこの森は、扇ノ山の中腹標高約700mにあるため冬は雪が多く、探鳥は4月以降の夏鳥中心となります。林内には自然観察と森林浴を楽しめる遊歩道が整備されていて、家族やグループで探鳥を楽しむには恵まれた環境です。
 国道29号から車で約20分、駐車場に着くとさっそくミソサザイが声量たっぷりのさえずりで迎えてくれます。入り口のもみじ橋を渡り、キセキレイが屋根にいる管理棟を過ぎると、そこは深いブナの森です。
 六月の早朝、妖精と称されたアカショウビンの独特のさえずりが沢の奥から届きます。斜面の枯れ木ではブッポウソウがフライングキャッチをしています。別のこずえではオオルリが大空に向かって盛んにさえずり、ブナの茂みではカラ類の動きも活発です。
 この森にはバンガローなど宿泊施設があります。一夜をブナの林で過ごしてみましょう。暗くなると森の奥からコノハズクが「ブッキョッコー」と鳴き始めます。フクロウ、アオバズク、トラツグミ、そしてヨタカやホトトギスの声が闇の中を移動していきます。

とっとりの野鳥」(鳥取県農林水産部森林保全課発行 2003年) より抜粋・転載

「管理人からのコメント」
 二十年以上前にこの施設が開設された当時は今よりももっと野鳥の数も種類も多かった。6月に訪れれば必ずと言っていいほどブップウソウやアカショウビンの姿を確認でき、夜にはコノハズクやヨタカの声に聞きほれることができたものでした。しかし年を追うごとに野鳥の数は減少、特にブッポウソウについては、ここ数年この場所でその姿や声を確認できていません。そのおもな原因の一つ、それは野鳥の写真撮影にしか興味のない、自然保護とは無縁のカメラマンたちのふるまいにあります。
 ここが開設された直後、当支部会員がこの地でのアカショウビンの営巣を確認しました。この情報はまたたくうちに全国に広まり、宿泊可能な施設が付属していることもあって翌年から野鳥カメラマンが大挙当地を訪れるようになりました。中には遠く関東地方からわざわざやってくる人たちもいました。
 野鳥の写真を撮るのにもマナーがあります。野鳥の生活を(人の生活も・・・)邪魔しないことが絶対条件です。特に繁殖期に巣に近づくことについては、事前の観察を積みかさねて繁殖に影響がない範囲に限定するべきです。このことが守れない人には野鳥写真を撮る資格がない。
 しかるに全国各地から当地を訪れるカメラマンたちの場合、かなりの割合でこのマナーが完全に欠落していました。例えば、繁殖期に木の幹で営巣しているブッポウソウの巣穴の真下で、何人ものカメラマンが巨大なレンズをつけたカメラを何本も置いて巣に帰ってくる親鳥を撮影しようとお互い談笑しながらのんびり待っている。ブッポウソウは人が怖いので巣に戻ることができずその年の繁殖を放棄、巣の中のヒナは飢えて死んでしまった。こんな光景がこの森のあちこちで毎年のようにくり返されました。はては、自分が写真を撮るのに邪魔だと言って鳥が営巣している木のまわりの立木を勝手に切り倒すバカモノまで現れる始末・・・。自分の欲しかないのか?
 きれいな写真さえ撮れたら自己満足、おまけに写真仲間にほめてもらえれは大満足で、被写体がその後生きようと死のうと彼らにとってはどうでもよいことらしい。自分が無理やり撮影したためにその鳥が子孫を残せなくなっても、来年この地にもう来ることがなくなっても気にならないのだろうか?野鳥たちの生活に対する配慮と想像力が欠落したこんな連中には二度とこの森に来てほしくない!いや、もう地球上どこであろうと野鳥写真を撮ることを永遠にやめてもらいたい!
 この事態を憂慮した地元在住の当支部会員の尽力により、この森の野鳥・自然環境を守ることを目的とする八頭町の「ふるさとの森条例」が成立、平成18年より施行されています。この条例により、施設管理者の指示に従わない者に対してその場で施設利用を取り消せるようになりました。
 ずいぶん減ってしまった野鳥の数を再び増やし、昔のあの六月の早朝の、うるさくて寝ていられないほどの無数の鳥のさえずりが再びよみがえるように、当地を訪れる皆さまのご協力をお願いいたします。

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